2016年に創⽴50周年を迎えた株式会社BCCは、 加速度的に変化するITトレンドに対応するだけではなく、絶えずイノベーションに チャレンジしている。社員の7割はシステムエンジニア(SE)。形のないモノを顧客と一緒になって作りあげていくSEは、高いコミュニケーション能力が必要だ。顧客との合意事項やプロジェクトメンバーへの各種指示を的確に文字に落とし込む必要もある。そのために、「コミュニケーション能力」「書く力」「考える力」にこだわった若手の育成に力をいれている。
*日経プレビジネスパック(PBP)は、日本経済新聞をメインテキストとした内定者・新入社員・若手社員向けの研修パックです。
2004年にスタートし、これまで延べ8,000社、100,000人以上の方々にご利用いただいてまいりましたが、現在、販売を終了しております。
2021年春より、お客様の研修ニーズの多様化やオンライン化にお応えできるよう当社の研修事業をリニューアルし、「日経MPビジネスパック(BIZ PACK)」のブランドでご提供いたします。BIZ PACKはお客様のニーズにあわせた自由設計型の研修です。PBPと同様の研修をご提供することも可能です。詳しくはお問い合わせください。


- お話を伺った方
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株式会社BCC経営管理本部
総務部 総務・⼈事G エキスパート石原 典明さま
企業と内定者を結ぶPBP
日々の一面記事から「的確な表現方法」を学ぶ
-BCC様は⽇経プレビジネスパックをご導⼊いただいて、既に7年⽬。新入社員だけでなく内定者向けにも活用いただいていますね。

最初は新⼊社員研修として導⼊しました。一方、その頃の内定者に対する入社前の課題は「学⽣の間は精一杯遊んで、学んでください」でした。学生時代にしか出来ない事をたくさん経験していたほうが入社してからの力になると思ったからです。しかし、意外にも会社に入ってきた新入社員達からは「内定時期から社会人として役に立つことを勉強したかった。」という声が多く聞こえてきました。それではということでPBPを入社後の「新入社員研修」から大学4年の10月から始まる「内定者研修」へと変更しました。すると意図せず内定者と会社の繋がりに良い効果を発揮しました。それまで内定式から入社式までの半年間での接点は2~3回程度でしたが、PBPを導入したことで内定者との接点が飛躍的に増えたのです。入社予定の企業から新聞が届く。それだけでも内定者に対する企業からのメッセージだと思います。さらに、パッケージの中にあるℯラーニングでは、進捗状況の確認や内定者へのコメントの書き込みもできます。PBPを軸にコミュニケーション機会を増やしたことは、内定者の入社意欲向上に大きく貢献したと感じています。
-意図せず内定者さんのほうから背中を押されるといった感じでしょうか。
そうですね。内定者は私が考えている以上に、高いモチベーションをもって入社を待ち望んでいるのだということに気が付かされました。

-PBPを本格的に導入される時に、こだわった部分はございましたか。
こだわりは文章力の向上です。私は採用に携わっていますが、近年、応募学生の文章力が弱くなってきたことを感じています。特に目につくのが、段落がないことと一文が長いことです。一人や二人の例ではなく、大多数の学生にそのような傾向がみられました。最近ではSNSの普及から、短い口語文をつけ足していくような形を多用するので、しっかりとした文章が書けないのだと気が付きました。新入社員といえども文章力は必要です。例えば入社初日でも日報という文章を作成させます。だからこそ、PBPでは「書く」ことにこだわりました。
-具体的な研修方法はどのようなものでしたか。
まず、日経の一面の頭の記事を毎日ノートに貼り、そのリード部分を書き写すことを半年続けさせました。一面記事にはたくさんの有用な情報が載っていて、それを眺めるだけでも社会情勢を知る上で有効です。さらに、リードはその記事を数百字程度にまとめた、素晴らしくお手本になる文章です。文章力の弱い学生にとっては、それを書き写す事で様々な言葉や表現を学ぶことができると考えます。内定者には、自分の語彙を増やし、相手が理解しやすい表現や言い回しが出来るようになる事を念頭に置いて書き写すよう指導しました。

-他にも何か取り組まれましたか。
他には2カ月に一度、こちらから記事を指定してレポートを提出させました。レポートは内容を添削して本人に返却するのですが、かなり細かいところまで突っ込んで添削しました(笑)。最初は頼りない内容も、2回、3回と続けていくうちに、しっかりと自分の中で記事の内容を噛み砕き、自分の所感を論理的に表現しようとする姿勢が見えてきました。また、記事の中に意味が分からないワードがあれば、その意味と出典元を書き出すようにも指示しました。ネットに溢れる情報は全てが正確なものではありません。受け売りではなく自分の言葉で説明することができなければ、本当の意味で理解していてるとは言えないということに気づいて欲しいと考えてのことです。
-アウトプットできる状態になって初めて「知識」といえますね。
そうですね。自分が理解していないものを相手に伝えることは困難です。相手に「伝わる表現」をするためにも、自分の言葉で説明できることが重要だということを認識させています。特に「きょうのことば」はわかりやすく簡潔にまとまっているので、参考にするよう伝えました。PBPの教材は「きょうのことば」をまとめた小冊子や、ハードルが高くなりがちな時事キーワードについても充実していると感じています。内定者には情報の重要性だけでなく、いろんなことに興味を持ち、アンテナを張っておくことが必要だと教えています。同じニュースを聞いた時、興味を持っていればその情報に反応することが出来ますが、持っていなければただ通り過ぎていくだけだからです。
-日経MPの専任講師による読み方セミナーはいかがでしたか。

最近は新聞を読まない学生が増えていますが、セミナーでは短時間でも効率的に読む方法などを教えていただいています。
-半年の研修を通して、何が一番変わったと感じられますか
新入社員の「書く」力はPBPのおかげで確実に向上していると思います。入社後3カ月間はデイリー、ウィークリー、マンスリーで研修レポートを提出させています。当然、レポート提出を重ねるごとに質は向上していくのですが、導入後は成長のスピードがあがったと感じています。やはり時間をかけて基礎を固めたことが役に立ったのだと思います。また、「書く」力が向上したことにより、プレゼンテーションにおいても適切な表現で要点をしっかりと伝えることができるようになってきました。

-研修商品としてPBPに対して、改善点や要望などはございますでしょうか。
私たちの使い方がまだ不十分であると感じています。アイディア次第でもっと自社に合った有効活用ができると考えているからです。今後も日経MPさんと相談しながら、会社のカラーにあったコミュニケーションツールへと進化させていきたいと考えています。